うかりシネマ

ぼのぼののうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

ぼのぼの(1993年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ぼのぼのが「楽しいのってどうして終わってしまうんだろう」と考えるエピソード、ヒグマの大将とスナドリネコさん、数年に一度現れ必ず何かを変えてしまうジャコウウシのエピソードで構成されている。

前半はぼのぼのたちの日常が描かれ、その合間にヒグマの大将とスナドリネコさんの過去が挿入される。間延びしているとかテンポが悪いといったネガティブなものではなく、原作の世界観がゆったりと表現されていて、展開は少ないがずっと観ていられる。
美術も原作をそのまま再現して、それを違和感なく動かしてくれる。「汗」の表現も可笑しい。原作カラーのタッチがそのまま動く、ジャコウウシのアニメーションは圧巻。

二人のボスとジャコウウシの話は、「戦争」や「災害」、「自殺」のメタファーを読み取れる。
諦観がベースで暗いものだが、人生にある悲しみ、やがて来る苦痛、生まれてきたことの意味、あるいは意味のなさ、やるべきこと、そういった哲学的な投げかけへの答えは優しい。
ヒグマの大将とスナドリネコさんの過去は、ウクライナ侵攻から一年半以上、ガザ侵攻から一ヶ月経った2023年11月にプレミア公開されたところに思いを感じる。