トトCINEMAライフ

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男のトトCINEMAライフのレビュー・感想・評価

3.8
気骨のある物語だった。
世の中の理不尽の1つ「反共」「赤狩り」という名の現代の魔女狩りは、この作品だけでなく現代日本でも続いている。
言いがかりと言えばそれまでだが、ポピュリズムを利用した社会政治の操作は不気味というより、本当に気味が悪い。
「共産党員・元共産党員は危険分子だからその映画関係者や脚本家を排除する」?レッドパージと呼ばれた国家と文化の戦い。仮想の敵を設定して攻撃すると多数派になり、何事も通し易くなる。その為に、今でいうインフルエンサー=著名人らを煽り役として妄信的に行動させるやり口は今も変わらない。
本作では、オスカー女優のヘレン・ミレンが珍しく悪役としてその卓越した演技力を発揮している。ダイアン・レインも実に安定の存在感。
主演のブライアン・クランストンの演説シーンは、いずれ名シーンとして語り継がれるだろう。

決して興行収入は良くなく大ヒットした作品でもなければ、題材も雰囲気も地味だがそんな中にも名作の秘話や、大俳優らが出てきて映画ファンとしては堪らなくときめく作品でもあった。