菩薩

男達の別れ98.12.28@赤坂BLITZの菩薩のレビュー・感想・評価

5.0
何気ない冬の1日、西日のさしてる車内で顔をしかめながら、友達の車の後部座席に乗っかって(噓、助手席です。)、向かうは千葉県、笠森霊園。亡き彼の墓前に手を合わせ、横に置かれたボックスを開けると、生前の彼の写真に、数多くのファンによる熱きメッセージ、もちろんそこにはメンバーの名前も。墓前に置かれた「ひこうき」が刻まれた石碑、 彼らの物語はいつでもあの日のまま、佐藤伸治の歌声も、いつでもあの日のまま。あまり良き思い出無き学生生活の中で、恐らくは最大の収穫がFISHMANSとの出会いであり、佐藤伸治の無限大の詩の世界との出会いであった。雨の日も風の日も、いや雨の日と風の日だからこそ聴きたくなり、土曜日の夜を待ちわびる。眠れぬ夜に眠ってるあの娘を思い、たとえいかれたBabyであろうとも、僕は頼りない天使でありたいなどと、そんな気分で。光陰矢の如しと10年、なんでも出来そうな気はしたけど、やっぱりそんなのはウソで、やっぱり何も出来ないけど、彼が残したMELODYとRHYTHMの中を、驚きと感謝を込めて、歩いて行きたいなんて。それはただの気分だけど、そのすばらしくてNICE CHOICEな瞬間に、僕は救われる気持ちになる。忘れちゃうひとときに、何もないひとときに、今はいいよと人生を肯定してくれる歌に出会えた事に、今にも僕は泣きそうで、だけどそんな運命に笑う。だれのせいでも無くイカれちまった夜に、ずっと待ってる王女様、晴れた日は君を誘うから、寝っ転がったりタバコを吸ったりしよう。世界は僕のものじゃないけど、忙しくて会えなくても、こんな季節を遊びたいし、この景色の中をずっと、二人で回っていたい。音楽はなんのために鳴り響くのか、そんな事は考えずに、僕らは歩く、ただそんだけでいいのではないか。彼の歌を聴けば、きっとその憂鬱な顔も、笑顔に変わるだろうから。毎日毎晩、あなたが僕を、しっかり僕を、その胸でその目でつかまえて。楽しいことも忘れた僕だけど、悲しい時に浮かぶのは、いつでも君の事なんだよと、夜の想いを吐き出す。もう知識はいらないから、欲しいものなんて何にもないから、気の合う人もいないから、自分の言葉で話すやさしい人、笑いを忘れる前に呼んでよ、この世界の真ん中で、2人ぼっちになれずとも。君の一番疲れた顔が見たいし、誰にも会いたくない顔のそばで、明日の夢など何もなくても、バックビートにのっかっていたい。心の揺れを静めるために、ポッカリあいた心の穴を、少しずつ埋めていくために、そんな感じで明日からも、FISHMANSと泳いでく。シンナーは、良くない。
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