津軽系こけし

アンジェリカの微笑みの津軽系こけしのレビュー・感想・評価

アンジェリカの微笑み(2010年製作の映画)
3.7
画竜点睛に酔う


【初オリヴェイラ監督】

✍️今作の監督は、現役最高齢の映画監督だったらしいです。

⬜️〈あらすじ〉
写真が趣味の青年イザクは、若くして亡くなった富豪の娘アンジェリカの写真撮影を依頼される。死に衣装に身を包んだ彼女を撮影したイザクは、彼女に恋心を抱いてしまう。アンジェリカの幻影が誘う神秘と、行き場のない孤独感との軋轢に、イザクは苦悩してゆきます。

🟦ポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ監督の作品です。ポルトガル映画といえば、私はペドロコスタ氏の名前を聞いたことあるくらいで、全編通して観るのすら今作が初めてです。
オリヴェイラ氏は当時101歳の長寿監督で、存命されていた頃は世界最高齢の現役監督として知られていたそうです。ですので本編でも、ベテランの手腕を利かせて無駄のない1時間半を織りなしています。

🟫美意識強めの青年イザクが、遺体となったアンジェリカに恋してしまうことで、彼の葛藤が始まります。絶対に手に入れられない愛にすがり、彼女の幻影すら出没しはじめて、孤独な悪夢は続いてゆきます。
現実世界で孤独に苦悩していたイザクでしたが、突如我々を置いて幻想の世界へ旅立ってしまいます。取り残された我々は、イザクの苦悩と生き方を己と重ねて俯瞰することしかできなくなるのです。美と人間の関係とはなんなのか、そういうことを私は考えてしまいました。

【服の配色がおもろいまとめ】

🟩こういういかめしい作家の映画って、「なんやこれ…」ってなることが多いのですが、案外シンプルにできていて洗練されている印象でした。

にしても、お墓にあんなひといたら私逃げ出しますよ、全力で…
津軽系こけし

津軽系こけし