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ナショナル・シアター・ライヴ 2016「戦火の馬」のmiumiuのレビュー・感想・評価

4.8
スピルバーグ監督の映画版を先に観ていて、もとになった舞台版をぜひ観たいと思っていた。
やっと観られて嬉しい!

原作は児童小説。
サラブレッドの血も引く狩猟馬のジョーイと、農家の息子アルバートの友情、戦争のために引き裂かれた2人が再会できるのか、その行く末を描くストーリー。

ジョーイを筆頭に馬がパペット(人形)で表現される本作、人形使いのプロの技術が本当に本当に素晴らしくて感動…!
人形使いの姿は見えているのに、それでも本物の馬が動いているように見える。
目の輝きとか、本当に命が吹き込まれているみたい。
人が騎乗しても大丈夫な作りの頑丈さも素晴らしい。

パペットの馬を引き立てるために最小限の舞台装置で作り上げた舞台も素晴らしい。
映像を投影する布と時々出てくる舞台装置はあるものの、ほぼノーセット。
小道具的に扱う棒の使い方と馬の演技で、場面が何処なのかすぐにわかるのがすごい。
(演劇やってるんで、とっても勉強になりました)

ストーリーは、途中からほぼ戦場だから、そりゃもう泣くしかないよね… めちゃめちゃ泣いた。(とは言え、笑いの要素もある)
ドイツ兵というだけで冷徹な人物にする作品が多い中、今作ではドイツ軍の騎兵隊長を最も人間味ある人物として描いていて、そこにも号泣。
戦場を嫌い、家族を愛し、動物であるジョーイや戦地で出会ったフランス人の少女にもひたすら紳士的に接するのが泣けた。

アルバートとジョーイの再会までのクライマックスは、ややシンプルに感じたかな。(それでも泣いたけど)
映画版はさらに紆余曲折あったような。もう一度観て確かめたい。
繰り返しになるけれど、とにかくパペット使いが素晴らしくて、
「いつか生で観てみたい!!」
と思える舞台だった。
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