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99分,世界美味めぐりのTSのレビュー・感想・評価

99分,世界美味めぐり(2014年製作の映画)
3.0
【美食巡りが今作のメインテーマか?】70点
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監督:トーマス・ジャクソン他2名
製作国:スウェーデン
ジャンル:ドキュメンタリー
収録時間:99分
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今作は5人のいわゆる「食ブロガー」が世界の三ツ星レストランや有名店を食べ回るというドキュメンタリー作品です。が、本作の興味深いところは実はそこではないと思います。それは後述しますが、美味しそうな料理が次々と出てくるはずなのでこれまたお腹が空く映画かもしれません。

ロケ地は様々であり、日本の京都も登場します。彼らは食べ歩いてはその料理を写真におさめ、自身のブログで批評します。発信力のあるブロガーがその店の批評を書けば、客数も変化するようです。逆に言うと、発信力のあるブロガーがその店を酷評すると大変都合が悪いようです。自分がこれまで研鑽してきて作り上げた自信作を、数分前に来た客に酷評されるのですから、その不満も理解出来ます。

さて、何が言いたいのかというと、結局のところフィルマークスもそんな感じだなと言うことです。現に、こんなことを言っている自分でさえ今現在、この作品を「批評」しています。その影響力に関してはたかが知れていると思いますが、否定的なことを言及していて、製作者がそれを読むと不快に思われるでしょう。かと言って、すべての作品を絶賛しなければいけないという義理はありません。これは本作のブロガーの意見でもあります。評価する人と評価される人のこのせめぎ合い。フィルマークスにおいてもそれは全く同じであり、やはり製作者の気持ちを十分に理解して評価しないといけないなと感じました。そのあたりは猛省させられました。

とは言ってもやはり合わない映画は誰にでも絶対あります。現に、次に更新しようとしてる『不思議惑星キン・ザ・ザ』に関しては意味不明でしたから、どう切り抜こうか悩んでるところです(笑)
言論の自由があるので、常識の範囲ならば何を述べても良いと思われます。しかし、特定の人物、団体を根拠なしに誹謗中傷するのはやはりモラル的にアウトだと思います。僕もこれからはなるべくその作品を批判するならば、普遍性のある根拠をあげてから批判していきたいと思ってます。

と、話がずれてしまいましたが、とにかく今作はそのあたりが興味深かったです。彼らにとって、世界中の美味な料理を食すことは夢であり目標なのです。そしてそれを自身のブログなどにあげ、「見える化」することにより一種の満足感を得ているのです。フィルマークスで言うならば、Markボタンを押し、Mark数が増えるのがそれでしょう。たくさん見ることが全てではありませんが、やはり映画に対する満足感は高くなっていきます。

そして自身が書いたその記事が名も知らない誰かに影響を与えているのならば、その記事はかなり意義のあるものだと言えないでしょうか。今作に出てるブロガーたちはどうやらそれに特に満足感を見出しているようです。しかし、その後の自己主張がやや気になりました。それは、自分には絶大な影響力がある、何故なら1200軒も有名店を回ったのだから、、という発言です。果たしてそれはどうでしょうか?(笑)この方の考え方は明らかに量を重視する考え方であり、多く訪れてるほど偉いという風潮を感じ取れました。そんなことはないはずです。数十軒しか行ってなくても素晴らしい感性を持っている方もいるからです。

なので、この作品に出てくるブロガー達の姿勢には賛否が分かれそうです。僕は自身にも投影して興味深く見させてもらいました。むしろそちらの方に目がいきすぎて、出てきた料理がそんなに印象に残ってない(笑)監督はどちらを重きに置いたのでしょうか?
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