あき

帰ってきたヒトラーのあきのレビュー・感想・評価

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
4.5
あまりにシュールでコメントがとても難しい。
アイコンとしてヒトラーを持ち出すこと自体、かなり挑戦的以外なにものでもないけど、
難民問題始め、世界的に情勢が流動的なうねりを年々増していく中で、それに反比例して政治家並びに政治の目に余る劣化によって状況は改善されるどころか悪くなる一方な現代だからこそ、それを解決できる強力なアイテムとして目の前の問題をわかりやすく顕在化させその解決策を明確に提示する者としてヒトラーという存在を潜在意識的に待ち望んでしまっていることの是非を真っ向から問いかけている。
表向きはいい顔、当たり障りのない言葉や話題を貫いていかないと、少しでもそれから逸脱したらSNSをはじめとした手段によって容赦なく社会的に抹殺されてしまう今の時代。
なにも言えなくなってしまった現代だからこそ、わかりやすく言えばお笑いの世界でさえ、“人を傷つけない笑い“からその真逆のコンビが優勝するのは自分は炎上してまで発言する勇気はないけどそれを臆せず口に出せる者に対する待望論の裏返しの喝采であるように、
なにかと息苦しい今の時代、いつどのように爆発するかわからない危険なニオイを強烈に発散させる非常に問題溢れる爆弾をぶち込んできた映画だ。
脱帽。
あき

あき