じゃっく

帰ってきたヒトラーのじゃっくのレビュー・感想・評価

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
3.6
ドイツでヒットした小説原作のブラックコメディ、時々ドキュメンタリー風作品。

突如現代の公園で目を覚ました男。彼とリストラされたTVマンが出会った時、世界は歪ながらも回り出す。彼は本物のアドルフヒトラーだった。情報化社会になった現代、TVに出演したヒトラーは世間に認知され人気が高まっていく…

全くの前情報なしで鑑賞。
シンゴジラとの2択で迷わずこちらを選んだ。
あらすじだけ読むとコメディなのか、サスペンスなのか判断つかなかったが。鑑賞後も判断に迷う。
人種、政治などありとあらゆるタブーにヒトラーというピエロ役を当て好き放題に言い放つ際どいブラックコメディが満載。

しかし観終わった後に現代社会、大衆心理の怖さに気付かされる。
劇中のヒトラーが最初はおかしい男程度に見られていたのが、「ヤツは優れた芸人」と思われ、時に狂った、時に愛らしい彼は民衆に認められていく。
当時の思想を現代社会でも同じように話す彼に「一理ある」と納得同調する民衆。
まさか本物のヒトラーが存在するとは思わない民衆は歴史を繰り返す様にヒトラーに寄る。

劇中にヒトラーが言う「私はモンスターではない。扇動したわけでもない。民衆が私を選んだ。皆の本質もモンスターなのだ」と。

混沌の中に歪でも核となるモノを当てはめると形を成していく。
今の混沌とした社会には、そんか事が起こる恐怖が見え隠れする。
そんな事を考えさせられる。今の社会にマッチした作品だ。

そして冴えないTVマンの彼が着てる、あのバックトゥザフューチャーのマイケルJフォックス的な衣装に笑う。
細かく部屋の壁にポスターもあるし、タイムスリップ物という強調なのか?
じゃっく

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