イペー

帰ってきたヒトラーのイペーのレビュー・感想・評価

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
3.7
全くもってナチスドイツに関する知識が薄くて、お恥ずかしい限り。
そんな無教養な自分でも、鑑賞後にはモノ思う人になっておりました。

現代のドイツに忽然と姿を現したヒトラー。
「アッ‼︎」という間に状況を把握し、驚くべき適応力でもって、周囲の人間を巻き込みながら、その存在を主張し始めるという。

ショーアップされたTV番組、インターネット、SNS。
『鬼に金棒』
『ヒトラーにfacebook』
稀代の扇動家は一躍、時の人に。

街行く人々にインタビューをする場面は実際の映像。
口々に現在の社会状況に対する不満やらを述べるドイツ国民の皆様。
ヒトラーそっくりな人物を前にして、移民排斥を訴える場面なんかは空恐ろしい…。

くり返す、このポリリ…ポピュリズム。
立憲主義、民主主義の転換点にヒトラーを立たせ、「国家とは?」「国民とは?」を問い直すような。

かといって、『惨禍の記憶を風化させまじ!』なんて、大上段に構えることもなく、良い塩梅に皮肉の効いたユーモアで、娯楽性も十分。
非常に丁寧な作りです。

アメリカの大統領選、イギリスの国民投票など、国の将来を左右する一大事が続く昨今。

本作が投げかける問題意識は実にタイムリーで、他人事では済まされない"鋭さ"を内に秘めています。

芸人枠で登場したTV番組でヒトラーが演説する場面。
息を呑む迫力に惹きつけられると同時に、思わず背筋に冷たいモノが…。

"もしも… "の先に我々が向かう未来。
しっかりとした作りの良作コメディ映画であり、想像力を刺激される優れた"SF映画"でございました!

…年相応に我が国の政治、国際情勢の変化にも、関心をもっと持つべきであろう、と思い直し、まずは歴史、ナチスドイツ成立の背景なんかを調べようとPCを立ち上げ、気がつけば可愛いネコちゃんの動画に釘付け。
ニャー! ニャー‼︎
イペー

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