takeachance

帰ってきたヒトラーのtakeachanceのレビュー・感想・評価

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
-
コメディ映画とホラー映画を同時に見たような、
今まで味わったことのない感覚になった。
こんな内容の映画がドイツ国内で撮影されて公開されて、
そしてヒットするという事実に、
ドイツという国の文化の奥深さ、表現の自由を感じた。

映画は半分ドキュメンタリーで制作しているのがとても面白い。
平気で移民の排他について熱弁をふるっている人がいて驚いた。

いかにドイツ国民はヒトラーに操られたかではなくて、
いかにドイツ国民はヒトラーを支持したか、
ということに主眼が置かれている。

そういえば、人種や国籍、民族間の憎悪を利用して
大統領という権力まで登りつめた男を最近見た気がする。

自分が思い描いていたラストは、
主人公、いわゆる現代の人々が過去のヒトラーの亡霊を蹴散らし、
数ある困難を一緒に乗り越えていく、という希望あるハッピーエンド。
でも実際は・・・たまらん。

クリストファー・R.ブラウニング著『普通の人びと』の
「彼(ヒトラー)一人を笑いものにすることは、
 彼に従った人間たちの罪や責任を
 棚上げすることになる」の一文を思い出した。
takeachance

takeachance