えるどら

インスマスを覆う影のえるどらのレビュー・感想・評価

インスマスを覆う影(1992年製作の映画)
2.6
邦画ホラーと海外文学のコラボレーション?

TVerで配信してたのがTwitterで話題になってたので見たよ。
自分はラブクラフト全然わかんないからクトゥルフ系の知識はゼロ。

服装や言い回しが少し古くて、20代の自分には「子供ん時に見てたドラマみたいだなぁ」なんて懐かしくなっちゃった。

ラブクラフトということでがっつりホラーとか冒涜的なバケモノが出てくるのかなと思ってたらかなり和風テイストで驚いた。
邦画ホラーっぽいカットや色味でありながら、幽霊や妖怪じゃない設定が斬新で面白かった。
外来の仏教と本来の土着信仰が融合して独自の宗教形態を確立したダゴン(陀艮?)って設定がすき。

------------ここからネタバレ含みます------------

インスマス村に入ってからは基本的に夜になると不穏になってホラーちっくになる。あとまともな村民がいないのも怖い部分のひとつ。
その代わり昼間は2人の女性キャラのおかげで楽しく見られる。オーバーオールちゃんも着物さんもとても綺麗な方で、鬱鬱として魚顔ばっかりの作中では一層光ってましたね。

話の核となる「人間には物語が必要」、「人生は全て幻想」、「記憶とは物語」みたいな感覚は斬新で良かった。
終盤でネタばらしされる瞬間までの映像は全て“映画という物語”でしかないわけなんですよね。主人公にとっての記憶・人生は映画を見ている我々にとってはあくまで物語でしかないという。そう考えると我々より高次元の存在からすると我々の人生や記憶だと思っているものも、ただの物語でしかないのかもしれないなぁなんて思う。
どうします?終盤に主人公が病院に電話をかけたときのように、自分の現実の認識の辻褄がいきなり合わなくなったら。ホラーだなぁ。
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