たむ

メディアのたむのレビュー・感想・評価

メディア(1988年製作の映画)
3.8
カール・テオドア・ドライヤー監督の遺稿をラース・フォン・トリアー監督が撮る、しかもテレビドラマとして。
1988年のデンマークの出来事とはいえ、なんという挑戦、企画でしょう…。
しかも実際に鑑賞してみれば、よくこれが放送できたな…という描写も多々あります。
さて、ギリシア神話の中でも有名なメディアの物語を生々しい描写で映像化したもので、パゾリーニ監督の一連の作品の系譜にも連なるかと思います。
トリアー監督作品としては、内容の絶望感はいつも通りながら、いつも以上にフェティッシュな映像が多いです。
これはドライヤー監督の遺稿をそのまま描くつもりはない、というオープニングのクレジットで出てくるため、脚本から自分の好きな要素を表現したのではないかと思います。
自分が脚本ではないため、他人の脚本からの方が、演出は厳しく、生々しい欲望が出てきた印象すら持ちます。
物語は有名過ぎるので、それをなぞる、というよりも自分自身の好みを反映させたのでしょう。
トリアー監督のBlu-rayBOXに入っていますが、かなり損傷が激しい映像で、なんとかしてほしいと思いつつ、その生々しさが魅力の映画でもありますね。
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