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インモラル淫らな関係のmuscleのレビュー・感想・評価

インモラル淫らな関係(1995年製作の映画)
5.0
数多の遺作と同じく"軽い"。はじめて神代辰巳監督作品で心の底から感動した。
最後に弟が単に外からフレームインするのではなくパンする向こう側からやってくる。あのレストランでの倒れ方にしてもそうで、カメラが動いて回りきった末に正面から倒れ込む。役者陣との呼吸を感じさせると同時に「この映画は(というかこの画面は)誰が見ているものなのだろう」という疑問が前景化する。

「わたしたちが同じ車に乗っていると振り返って見る人がいるわね」→これも誰のことだろう。車内の言葉は何一つ噛み合っていない。そして冒頭の服装へ着替える。この映画はコスチュームプレイだったのか。私達を見つめる視点に自覚的な登場人物たちといえば堀禎一の『憐』を思い出したり。


「釣、り、にいこう、釣りにいこう」がやっぱり一番好きだな。柳愛里本当すごい。
首をひねる女、聞こえないピアノを叩く指、蟹歩き、カウンター越しのキス、ダンボールを蹴り上げる一回転、テーブルの下で握られる手、追い詰めるように自転車の後ろを走る車。
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