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エアリフト 緊急空輸のドントのレビュー・感想・評価

エアリフト 緊急空輸(2016年製作の映画)
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2016年。クウェート在住の裕福でいけすかないインド人ビジネスマンが、90年のイラクによる侵攻の際に取り残された17万人の同胞を脱出させた実話を元にした作品。
『ホテル・ルワンダ』『アルゴ』に連なる難民救出物語で、楽観的な人間、悪い奴、嫌な・困った人(この人がほぼブレないのかとてもgood)、「危険因子」、ヒャッハー気味の兵士たちなどがわかりやすく描写され、ちと平坦で地味ながら手堅い映画になっている。インド映画印のミュージカルなシーンが、コトが起きる直前に気持ちばかり挿入されていていささか浮いているのだけど、直後の突然の侵攻・動乱とのギャップを生んでいてこれはこれでアリ、という気も。無法地帯となっている市内を車で移動する長回しのシーンが鮮烈。
血が流れたり従業員に頼られたりはするものの、主人公が善意に目覚めることにドラマチックで濃い目の動機付けがされていないことにも逆に好感を持つ。なんとなくとか、よくわからないけど、そうしたくなる、良心というのはそういうものだと思う。最大の危機に訪れた救いの手や、台詞を排した最後のシーンは、インド人じゃないけどなんやかやで感動してしまった。しかしやはり金とコネと口の上手さがモノを言うのだなぁ、ちと怖いなぁ。
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