燕鷲

パーティで女の子に話しかけるにはの燕鷲のレビュー・感想・評価

3.5
当時のムーヴメントを一から十まで理解できていなくても充分に胸を打たれるであろうエモーショナルな仕上がり。
エリザベス女王の祝典には目もくれずに“青春しちゃってる”パンク野郎三人衆のキャラクターが微笑ましく、古い一軒家で繰り広げられる各コロニーの摩訶不思議な営みも眺めているだけで単純に楽しい。
予告編に使われているカット(実にストレートで切ないザンのセリフ)には意外なほどホロリとさせられた。

ただ、パンクとSFとメロドラマの親和性がそこまで高かったかどうかはちょっと疑問。それぞれの化学反応に成功していれば、あの歌唱の場面はもっと魅力的なものになっていたはず。

「ホントにこんな世の中でいいの?」
「大人の皆さん、いつまで若い世代を食い物にするつもりなの?」
「若者たちも行儀良いだけじゃダメなんじゃない? もっとパンクしなよ?」

誰よりも優しいまなざしで人間を描いてきたジョン・キャメロン・ミッチェルにとって昨今の世界情勢(トランプ政権)は許し難い事態なのだろうが、それにしても今回は問題提起の意識が強すぎたのではないだろうか。と、個人的には感じる。
燕鷲

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