あなぐらむ

(秘)大奥外伝 尼寺淫の門のあなぐらむのレビュー・感想・評価

4.1
これは小川節子時代劇ポルノのベストワークではないか。
時代劇ポルノを多く手掛けてきた林功の緩い演出とは違い、脚本の中島丈博と藤井克彦監督は、前将軍の御手付となり代替りで尼寺に籠る女達の業と愛欲を、一種の格調を持たせて描ききり、反権力的な薫りも漂わせている。

物語世界を尼寺に限定した事が見事で、同じ女だけの世界でもより濃密なドラマになり、途中逃げ込んでくる罪人役の益富信孝がやはり強烈、物語と性戯の両面を引っ張る。引っ掻き回す。

助演の花柳幻舟と宮下順子が重しになり映画のグレードを上げている。狂女役のあべ聖(この時期のロマンポルノでよく見かける)も印象的。前半だけながら、宮下は本当に存在感ある芝居を見せ、小川もそれに対抗するかのような絡みを見せていく。
おなじみ浜口竜哉が知恵遅れっぽい将軍(小川と行為中腹上死)でおかしい。