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性談・牡丹燈籠のhorahukiのレビュー・感想・評価

性談・牡丹燈籠(1972年製作の映画)
3.5
8月13日にお迎えにあがります…

8月は心霊④

結婚を約束した女は幽霊だった!約束の13日に備えてお札と観音像で鉄壁の守りを築く主人公に、あの手この手で家の中に入る計画を練るお露さんとの攻防を描くvs幽霊な篭城スリラー。有名な牡丹灯籠の日活ロマンポルノバージョン。

雨の道を帰る良いとこのお嬢様なお露さんが傘をくれた浪人の新三郎に惚れるという象徴的なスタートを切りつつも、新三郎の傘はお露に降りかかる雨をしのぐことが出来ず、身分の差による悲恋の物語へと舵を切る。そこにお露さんとその父親を亡き者にすることで家を乗っ取ろうと企む女中クニの思惑が入り込み、ついにはお露さんは殺されてしまう…。死してなお新三郎を求めるお露さんは、あの有名な下駄の音を鳴らしながら新三郎の家に通うっていうのが大筋。

新三郎に会うのに緊張しまくるお露さんがめちゃ可愛い!会う直前に、嫌われたらどうしょ…と布団に篭って出てこなかったり、いざ会ってお酒を注いであげる場面でも緊張しまくって全然違うところにお酒を垂れ流すドジっぷりを披露。こんなん応援しちゃうよ!一方で嫌味でチクチク攻めてくるクニのクズっぷりにはイライラ…。

家柄の拘束からの解放へと向けた欲求が風船として表現され、それを捕まえようとする男のスローモーションが彼女の願望を語る。水槽の中の二匹の魚もまた二人の家柄や身分の差に囚われた現況を表すとともに、本作が向かう目的地である死後の結婚という暗示にも捉えられるのが面白い。

お露さんの訪問を告げる下駄の音と風鈴の音、そして燈籠を待って歩いてくる姿の怪談的迫力が凄まじく、家の中で正座して俯き、幽霊からの誘惑に耐える新三郎は耳なし法一のよう。死により結ばれるというのは、強固な現実に対する悲観的な諦めでもあるのだから非常に怪談的で、さすが日本三大怪談の説得力。

ちなみにエロはそんなになくて、忘れた頃にチラホラあるくらい。お決まりなクソデカいもやが下半身に入ってたけど、DVDで見たら違うのかな…😅
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