ユースケ

無限の住人のユースケのネタバレレビュー・内容・結末

無限の住人(2017年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

「100人斬り」や「12の刃を持つ男」の異名を取る不死身の用心棒の万次をはじめ、キャラの立ちまくった登場人物たちが、ツイ・ハーク監督作品を思わせるオリジナル武器と浮世絵を思わせる決め絵でチャンバラを繰り広げるマイ・フェイバリット漫画【無限の住人】の実写映画化。

監督・三池崇史×主演・木村拓哉の時点で期待はしていませんでしたが、溜めも見得もないチャンバラとタレントのコスプレ大会を延々と垂れ流すそれは、ただでさえ長い141分という上映時間に永遠を感じさせ、無限に生きる苦しみを体感させる【テラフォーマーズ】と並ぶ修行映画でした。こんな劣化版【十三人の刺客】なんて見たくなかったし、言い訳したり、弱音を吐いたり、死にたがりの万次なんて見たくなかったです。

とにかく、バックグラウンドが描かれない薄っぺらいキャラクターたちによる原作漫画の名シーンの不完全再現に終始イライラしっぱなし。原作漫画にあったシーンを無駄に端折って名シーンを台無しにする脚本と演出はまさに愚の骨頂。
主人公の万次も、宿敵の天津影久も、ぶっちぎった強さも個性も描かれていないので、チャンバラもドラマも盛り上がらないし、ヒロインの凛は心理描写が描けていないので、でっかい声で嘆くだけの足手まといにしか見えません。
せめて、万次の超回復能力や凛の成長くらいはまともに描いて欲しかったです。

とりあえず、全30巻を141分でまとめるのは最初から無理だったわかっていたので、せめて、単行本の第一巻に序幕として収録されている1993年アフタヌーン四季賞にて四季大賞を受賞した同名の読切作品をきっちりオープニングで完全再現するくらいの意気込みは見せて欲しかったです。万次の顔の傷はこうして出来ましたなんてオリジナル要素は要りません。

監督の三池崇史様並びに主演の木村拓哉様、原作漫画を読み返す機会を与えてくれてありがとうございました。
戸田恵梨香様、美しい御御足を披露して作品に唯一のみどころを作ってくれてありがとうございました。
そして、市川海老蔵様並びに金子賢様、ふざけすぎです。死んで下さい。

嗚呼、もっと外道な尸良が見たかったな。