しゃび

無限の住人のしゃびのレビュー・感想・評価

無限の住人(2017年製作の映画)
1.8
いいんです…
分かってるんです。

原作に思い入れがある。
かつ、三池監督はあまり肌に合わない。

この時点で、私がこの映画をあまり楽しめないのは自明なんです。

でもね。
『無限の住人』は大好きな漫画だったんで、やっぱり観てみたいですよね。



この映画観ていて思ったことは2つ。

1つは予想以上に映画としての出来がひどかったこと。
もう1つは、そうでありながら木村拓哉という人間一人で映画のパターンとしては成立させられるということ。


映画を原作と比較してどうこういうのは無粋だ。
原作はあくまで原作であり、それを元に自由に映画を作ればいい。
私はそう思う。
だから、原作を何でそう変えちゃったのかな、なんてことを言うつもりはない。

そういうことではない。嫌な言い方だけど、純粋に映画として低水準だと感じてしまった。

140分という不可解な尺、何とも魅力に欠くキャラクター、どこに重きをおくでもないなんとも中途半端な映像世界、ラストシーンのセンスのなさ…

正直全く期待してはいなかったけれど、予想を超えて酷かった(あくまで個人の感想です…)

あまりに酷すぎるので具体的には書かないことにした。



しかし、
それだけ酷いにも関わらず映画としては成立している。
してしまっている。

キングタクがいるからだ。

殺陣をするタク、怒るタク、粋な計らいをするタク、カッコつけるタク、痛がるタク、痛がりまくるタク…

キングにとって、映画の出来なぞ関係ない。
己の演技が上手いかどうかなんでどうでもいい。

俺がいた。
名はキングタク。

出来不出来の向こう側に彼はいるのだ。
そう、キングカズが勝ち負けの向こう側にいるように。



ネタバレ↓

文句いいながらも、一つだけすごく好きなシーンがあった。

尸良が滝を落下にして死ぬシーン。

漫画とは全然違う死に様だけど、とても印象的だった。映画で滝底に落下すると生死が万全としないことが多いが、それを見事な形でクリアしている。

何と滝から血しぶき!

体を叩きつけられる様を、下から捉えるワンショットはとても鮮やかで、かつ尸良が絶命したことを端的に示している。

このやり方元ネタがあるのかな。
しゃび

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