いいんです…
分かってるんです。
原作に思い入れがある。
かつ、三池監督はあまり肌に合わない。
この時点で、私がこの映画をあまり楽しめないのは自明なんです。
でもね。
『無限の住人』は大好きな漫画だったんで、やっぱり観てみたいですよね。
この映画観ていて思ったことは2つ。
1つは予想以上に映画としての出来がひどかったこと。
もう1つは、そうでありながら木村拓哉という人間一人で映画のパターンとしては成立させられるということ。
映画を原作と比較してどうこういうのは無粋だ。
原作はあくまで原作であり、それを元に自由に映画を作ればいい。
私はそう思う。
だから、原作を何でそう変えちゃったのかな、なんてことを言うつもりはない。
そういうことではない。嫌な言い方だけど、純粋に映画として低水準だと感じてしまった。
140分という不可解な尺、何とも魅力に欠くキャラクター、どこに重きをおくでもないなんとも中途半端な映像世界、ラストシーンのセンスのなさ…
正直全く期待してはいなかったけれど、予想を超えて酷かった(あくまで個人の感想です…)
あまりに酷すぎるので具体的には書かないことにした。
しかし、
それだけ酷いにも関わらず映画としては成立している。
してしまっている。
キングタクがいるからだ。
殺陣をするタク、怒るタク、粋な計らいをするタク、カッコつけるタク、痛がるタク、痛がりまくるタク…
キングにとって、映画の出来なぞ関係ない。
己の演技が上手いかどうかなんでどうでもいい。
俺がいた。
名はキングタク。
出来不出来の向こう側に彼はいるのだ。
そう、キングカズが勝ち負けの向こう側にいるように。
ネタバレ↓
文句いいながらも、一つだけすごく好きなシーンがあった。
尸良が滝を落下にして死ぬシーン。
漫画とは全然違う死に様だけど、とても印象的だった。映画で滝底に落下すると生死が万全としないことが多いが、それを見事な形でクリアしている。
何と滝から血しぶき!
体を叩きつけられる様を、下から捉えるワンショットはとても鮮やかで、かつ尸良が絶命したことを端的に示している。
このやり方元ネタがあるのかな。