ガーコ

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のガーコのレビュー・感想・評価

4.0
有名俳優のジョンと、彼のファンの少年との秘密の文通。
一体どんな話かとワクワクしていたのですが、思ったのとはちょっと違った。

予告では、衝撃的なジョンの死の真相とは⁈と、期待させられたけど、実際はそういう謎めいたものではなく、1人1人の生き方について考えさせられる内容。

期待していたものとは違ったけど、これはこれで深い話で興味深かったです。

ジョンは有名でありながらも、人間関係が上手く保てず、同性愛で悩んでいる男性。
一方、ルパート少年は、彼の大ファンで役者を目指している、小学生。

普通の生活をしていたら、決して出会うことのない2人が、手紙を通じて、お互いの生活や趣味、家族、夢などを語り合う姿を想像するとワクワクします。

でも、この作品のちょっと面白いところは、そういった直接的な文通のやり取りが一切出てこないところ。

周りの大人たちが、ジョンと少年は本当に文通しているのだろうか?という、疑惑を抱きながら話が進むので、そもそも2人の文通は偽りなのではないか?と疑問を抱いてしまう。

そうして、大人たちの疑心暗鬼は膨らみ、とうとう実の母親にまでも嘘つき呼ばわりされてしまうルパートくん。

ジョンも、ルパートくんも、信頼していた人から次々に裏切られていく姿がとても哀れでした。
ジョンは恋人の男性からも振られてしまい、ルパートくんはお母さんからも信じてもらえないという、お互い自分の苦しみを抱えている中での文通は、どこか通じ合うものがあったのだと思います。

人から認められないというのは、想像以上に辛いもの。
お互いに自分の信念を貫き続けた結果、ジョンは薬漬けになり、死の選択を…。

対するルパートくんは、お母さんと腹を割って話し合い、数十年後の彼は現役の役者として明るい未来を築くことが出来ました。

似たもの同士がここまで違う人生を歩む事になるとは…。
ラストで複雑な気持ちになりました。

そんな暗い気持ちの映画でしたが、映画の構成はとても豪華でお勧め。
お母さん役にナタリーポートマンさんが出演されていることにびっくり!
『ホーム・アローン』を想像させるような深い愛に包まれたお母さんの姿がなんが意外でした。『レオン』の映画であんなに可愛かった少女が、もうお母さんなのですから…。

また、『リチャードジュエル』で優しいお母さんを演じていた、キャシーベイツさんが、今回はバリバリのキャリアウーマンだったこともびっくり!
役で180度も変われる彼女の演技力に感動しました。

1番の見所はやっぱり、ジェイコブくん。
『ルーム』の時の可愛らしさにプラスされて、青年の逞しさをひしひしと感じられる演技でした。
今後の彼の演技に期待です!

素敵な映画をありがとうございました(^^)
ガーコ

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