NEWおっさん

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のNEWおっさんのレビュー・感想・評価

3.0
「誇大広告も言い方で真実味を帯びる」

グザヴィエ・ドラン最新作は、自身が初めて挑んだ英語作品。人気俳優が29歳という若さで死んでしまった死の真相を、文通をしていた当時11歳の俳優志望の少年が過去回想という形で語る。ドランが幼いころ、憧れていたレオナルド・ディカプリオに手紙を送ったという自身の経験から着想を得たらしい。

初英語作品ということで、内から飛び出した新境地みたいな感覚と思われるが、相変わらずそこかしこにセンスを光らせている。でも正直、前作の「たかが世界の終わり」からこのセンスが鼻に付いてきた感がある。このセンスが分からないヤツはダメだ、みたいな。ちょっとナルシスト成分を感じる。

話としては至ってシンプルだが、この形って監督が普段インタビュアーに抱いてる印象じゃないのか。逆ギレされるまで取材しないといけない内容だとは余り思わなかった。てかそんなの芸能誌にやらせろよ。社会派ジャーナリストにさせる内容なのか。

あとドノヴァンもルパートもゲイなんだが、ゲイに関してやたら厳しく描かれてるのも気になった。ステレオタイプな差別の描き方というか。ドラン自身もゲイをカミングアウトしてるしリアルなのかも知れんが。

と文句タラタラ言ったが正直話としては嫌いではない。俳優の苦悩や葛藤など、最近の日本での芸能人自殺が多いこととも通じるような、我々凡人には理解できない思いがあるんだろう。そして文通相手の少年パートも添え物ではなくガッツリドラマとして出来ているので良かった。特に母との関係はベタではあるけどちょっとクるものがあった。しかしあくまで個人的にだがちょっと自己啓示欲が強いのを感じ始めて来たからそこを抑えて欲しい。

余談だが、ナタリー・ポートマンも遂に母親役かあ。最初母親役と分からなかったぐらい、老けたなあと感じてしまった。まだ40手前でしょ?まあ前見たのが「聖杯たちの騎士」だったから5年経ってるし仕方ないのか。