YohTabata田幡庸

ハンガー・ゲームのYohTabata田幡庸のレビュー・感想・評価

ハンガー・ゲーム(2012年製作の映画)
3.7
友人に勧められて観た。決してつまらない事はないのだが、正直日本にはもう「バトル・ロワイアル(以下BR)」と言う深作欣二の名作があるので、新鮮味はなかった。

勿論別物である事は分かっている。本作「ザ・ハンガー・ゲーム(以下HG)」が出て来た時にその類似性が散々議論された事も承知だが、「BR」を観た後に本作を観て、比べるなと言う方が無理な相談だろう。

「BR」の凄かった所は、
・言い訳程度に架空の国と言う設定だがどう見ても日本を舞台にした事。よってこの現実と地続きだと捉えられる事。
・兎に角人が死ぬ所をちゃんと見せる所。
・ちゃんと彼等の態度や発言が中学生に見える事。
の3点だろう。よってR指定になってしまった訳だが。

そして「HG」の強みはアメリカ映画独特の、人間模様の描き込みにあると言える。とは言え彼等が10代の少年少女には見えない。
「このボー・ガンお前んだろ?」的な物がない分、ファンタジーとして観やすい。さしてゴア・シーンもないので観やすい。一方で、その分観た後に残る物も薄いのも確か。
人間の汚なさみたいな物を描くならもっと徹底的にやって欲しかった。何だかんだで主人公の周りは良い人ばかりだ。「主人公たちの愛の力でゲームが終わり、その後の世界のカタチに影響を及ぼすだろう」と言うのは上手いけど、面白いのか?

決して「BR」が完璧だとは思わない。寧ろ物凄く歪な作品だと思う。だが、その歪さが好きなので、「HG」を観て、ちゃんとしてるな、と思ってしまった。

デス・ゲーム物として、ゲームは後半1時間のみと、始まるまでが長いとかゲームが短いとか不満はあるが、それ以上に「格差社会」と言うテーマにフォーカスしていた。都会の人々の服装や食事はロココかティム・バートンばりにゴテゴテしてて良い意味で気持ち悪い。

邦画みたいにエンド・クレジットに歌があってびっくりした。

それ以上に第二班にチャド・スエルスキとスティーヴン・ソダーバーグの名があってもっと驚いた。
YohTabata田幡庸

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