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ハンガー・ゲームのeichanのレビュー・感想・評価

ハンガー・ゲーム(2012年製作の映画)
3.9
無作為に選ばれた若者が最後の一人になるまで殺し合わなければならない、そんな無慈悲な戦いを描いたバトルロワイヤルのような映画。

この設定は個人的に好きだ。死の恐怖や殺さなければ生き残れないという心理描写に考えさせられるし、どのような戦略で生き残るかにワクワクしてしまうからである。
この映画の主人公カットニスは平和主義者。周りの殺気立った敵を殺すのを躊躇ったり、それでピンチになったり、焦ったくもあり共感もしてしまう。情緒が不安定になったり一貫性が欠けたりする描写はティーンエイジャーのリアルを演出しているようで良かった。

そもそもこの殺し合いは首都が支配地に対して服従させるために行なっているものである。野蛮な設定ながら、史実にも全くあり得なくはなさそうな部分が、搾取政治の狡賢さや人間の腹黒さを見せつけてくれる。この映画をよく見なくても、非支配層の人間味のある描写と、首都の人間の心のなさはあまりに明白に区別されていることがわかる。

一方この映画を見る際の注意点として、アクション映画だがバトルシーンはほとんどなく、どちらかというとサバイバル&サスペンス映画だと個人的に思う。しかも本題のゲーム開始は映画の中盤からになるので、半分くらいまで退屈に感じてしまう人もいるかもしれない。
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