恋人との別れも、父親との死別も突然に訪れる。感情の表し方も分からないまま。
青年はどうしたらいいのか分からないままただ何かに駆られて客寄せのために声を荒げる。その声は都会ではさして誰にも聞こえないまま喧騒にかき消されていく…
家具の配置だったり、構図がとにかく美しい。綺麗すぎてちょっと引いてしまうほど。
にしても回想のシーンはずるいな~と思いつつも… 子供の親との記憶って本当にさりげないものが実は一番残っていたりするものだ。親子の間でしか行われ、認識されなかった何らかの儀式の空気感というか。ロラン・バルトの「明るい部屋」を学校の課題で久々に再読したからなおさら印象に残った。