おとうちゃん

疾風スプリンターのおとうちゃんのレビュー・感想・評価

疾風スプリンター(2015年製作の映画)
3.5
ギヤ ギヤ ギヤ ギヤ…!

別に大騒ぎしているわけじゃぁナイ!
ロードレース用語で「さあ仕掛けるぞ...行け!」といった意味らしい。

大好きな格闘映画『激戦ハート・オブ・ファイト』のダンテ・ラム監督が、今度はチャリで熱い情熱と夢を見せてくれた。
プロ ロードレースを舞台に繰り広げられる男たちのドラマ!

チャリも格闘技だった!
...って、これは言い過ぎだが、撮影中80人が骨折などのケガをしたとの事だけあって、チャリに興味がない私めでもレースシーンの迫力とスピード感はしっかり伝わってきた...まさに疾風スプリンター!

「スプリンター」とは平坦な道や下り坂が得意な選手のことらしい。
ちなみに上り坂が得意な選手のことを「ヒル・クライマー」というらしい。

型破りなスプリンター ミン、苦悩のヒルクライマー ディエン。そして絶対的エース ジウォン。
三者三様、時には三つ巴の夢、友情、恋愛、栄光、挫折...チャリに よくこれだけ積め込んだと感心する程、スポ魂 全てをペダルに込めて疾風する。

ギヤ ギヤ ギヤ ギヤ!...これを言うのはアシストの役目。

アシストはエースの風除けになりながら、ライバル選手をブロックしベストな位置をキープ、そしてアタックのタイミングを計る。
最終スプリットまでエースをベストな状態のまま運ぶ、絶滅危惧種 内助の功の女房役。

レースの勝敗を分けるのは、常にアシストのライン取りだが、当然エースが飛び出すときにアシストは道を譲らなければならない。

表彰台に立つのは常にエース!

この映画を観た後、満面の笑みでトロフィーを掲げている選手の足元で、彼を見上げながら誇らしそうに拍手をしている選手を探したくなる。

きっと、その人がアシストの選手。
その笑顔は エースのそれより、ずっとずっと価値がある。