エリザベス

メッセージのエリザベスのネタバレレビュー・内容・結末

メッセージ(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

人生の始まりと終わり、時間の流れの概念を覆す傑作。

生まれたその瞬間から年齢や西暦、時間という枠組の中で自分の人生の在り方を過去・現在・未来と1つの線上をなぞるものと定義付けてる事になんの疑問も持たなかったし、それが正解だと思ってた。

人類っていう文明の中でその定義の元何百万年も栄えてきたのだからそれもまた1つの答えであって間違いでは無いけれど、全く別の文明とある日突然対峙した時その固定概念は意思疎通の邪魔にしかならなくなるんだろうな。

時間の概念がこの世界である程度共通である以上、時間が育む生と死には喜びと悲しみが付き物だけど、仮に未来を行き来出来るとして自分や愛する人の死期が分かった時人は死という事実に悲しむ事はあるのかな。
今死んでも10年後に死んでも死ぬという事実を知っている以上は今悲しむべきでもあるしその瞬間を迎えた時に悲しむべきでもある。
だけど僕ら人間は未来を知る事なんて出来ないから、突然訪れる永遠の別れに打ちひしがれるしその事実に抗う事は出来ない。悲しみを理解してくれと願っても時間への概念が異なるヘプタポッド達には到底理解出来ない。
こういう文化や常識が持つ認識の違いが、時代が進めば進む程他者を拒む脆さに繋がってくると思う。

ヘプタポッドが持つ円形の言語、未来を見通す事が出来る能力(?)、そして人類を助ける為にやってきたという目的の真意は大局的な正義の他に人類が持つ概念を覆す事がもたらす新しい幸福という意味合いが強い気がする。

いつの日か訪れる愛する人との別れに悲観して生きるのか、美しくも儚い今という時間を噛み締めて生きていくのか。

始まりと終わりという事実をどう捉えて生きていくかで、人生という1つのサイクルがもたらす幸福度と価値観は大きく変わる。
エリザベス

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