みかん

メッセージのみかんのレビュー・感想・評価

メッセージ(2016年製作の映画)
4.9
きっかけは第九地区のような地球外生命体飛来系として「見よう」と思っていたのですが、
想像とは違った「傑作」でした。
前知識、先入観なく鑑賞。

邦題の「メッセージ」は原題では「Arrival」なのですが、
日本では「Arrival」という語で「(乗り物の)到着」しかイメージできない人も多いと思うので
わかりやすさで「メッセージ」になったのかもしれませんね。

さて肝心の内容ですが、序盤は「物体」をなかなか見せてくれません。
引っぱります。
でも、ちょうどよい按配で見せます。結構はっきりと。

その後、どういう風にコンタクトを取るのか?

その方法は非常に機能的かつ工夫されており、まず「きちんと理解する」ために
手順を追うためにも大事だったといえます。

もし人類が他の知的生命体とコンタクトを取る際にも、
ある程度の知的水準や、限定性などを設けることで、交渉に値する相手とコミュニケーションしやすくなりそうな気がします。

なぜ地球に着たのか?を問うためのやり取りが進展する中で、
今回は「文字コミュニケーション」がキーとなります。

日本語は表意文字の漢字と、表音文字の平仮名/カタカナを日常で使うため
本作で登場する文字の構成は、理解しやすいかと思います。

中盤、某国の姿勢にドキドキしてしまいます。
本作でスリリングといえるのは武力行使する思想そのものでしょう。

コミュニケーションが不可能かもしれない別の生物との疎通をじっくりおこなう行為に対して、
色々な意味に取れる「言葉」を、都合の良いように、あるいは、ネガティブに解釈する。
地球の人同士、お互いの言語を知っていても諍いは絶えません。

言語は思考にも影響する。その通りであり、その言葉は劇中で大きな意味を持ちます。

最終的に、結末がわかっても日々を大切に感じるという、ある種、日々是好日であり、
この映画のテーマは理解しあうことの先にあるもの。

たびたび出てくる「回想」シーンの意味や、謎生命体の動機(メリット)それらが説明されますので
なんだかよくわからないとか、もやもやした感じが残らず、見終わったあと爽やかな気持ちになれました。
Arrivalの意味するのが、届く、というか、達する、みたいなニュアンス。地球の人類が。そんな風にも思いました。

家族についてもちょっと考えさせられる、自然なヒューマニズムで色々と絶妙な作品でした。
SF好きじゃなくてもオススメしたいです。

音楽はスティーブ・ライヒかと思ったら違った。
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