このレビューはネタバレを含みます
これってやっぱ評価が分かれる映画みたいで、こう言うと経験で差別してバカにしてるみたいですごく嫌なんだけど、
やっぱり前提の「他言語を習得して操るようになると、思考の構造からまったく変化する」っていう概念。
これが、(ほんとうに嫌な言い方をすると)「分かる人にしか分からない」んだと思う。
これはもう仕方なくて、だっておれはスポーツを経験してないからスポーツの映画はあんまり楽しめないし、出産を経験した女性は誰かが頑張って出産している姿を描いた映画を観たらすごく感情移入するだろうし、
それと同じように、母語を操っているだけなら絶対に変わらないような脳の一部分が他言語を学ぶと根底から揺るがされてしまうような体験、その一端を経験した人間にすごく刺さる映画なんだと思う。
逆にそこの概念が染み付いてない人にとっては、「宇宙人からなんか妙な仕組みで超能力を受け取った」ってことになってしまって
そうなると、ほかの人が言うように、「未来と過去がなくなるってのはすごく深い題材なんだから、仕組みの部分に焦点を当ててる時間がもったいない」ってなるのかも。
ちがうんだ!!おれにとっては、その「仕組み」が一番深い題材なんだ!!!
つまり、まあおれも日本語以外がペラペラ喋れるわけじゃないけど、言語によって自分の考え方が変えられてしまう体験をしたことがあって、そのなんとも言えない怖さを知っている。
そうすると、この映画を観ていて、「自分もこうなる可能性がある」と思ってしまう。ここにくるともう「突飛な超能力」ではない、一気に自分に近いものになる。
もっと言えば、「今この映画が終わるまでの間に、万が一この言語の構造を理解してしまったが最後、おれも本当に今から全く別次元の存在になっちゃうぞ…」と本気で思ってしまう勢いだった。
たとえば映画の中で人間を洗脳するための映像というのが登場して、しかもそれが現実の観客に向けてスクリーンで流れ始めたら怖いでしょ?同じ感じ。
あと、「ただ習得するだけで」人間を高次の存在に生まれ変わらせてしまう言語、ほど怖いものある?
「20歳になるまで覚えていたら死ぬ言葉」をどうしても忘れられない怖さと似てて、「知る」というのが「避けられない/消えない呪い」なのが怖すぎる。
そんなわけで映画の終盤はずっと心臓バクバクでした。
おれの感じたこの映画のヤバさ、分かってもらえただろうか?なんかめっちゃ順序が散らかった駄文になってしまった。眠いからだけど。
まあこれもひとつ、思考が過去と未来を超越しちゃったヨってことでシクヨロ。