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リメンバー・ミーのrensaurusのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
4.5
メキシコ文化全開のカラフルな死後の世界を舞台に、ド直球の家族愛と純粋な音楽の素晴らしさを感じられる作品。

音楽厳禁という先が見透かせる掟の設定や、憧れのミュージシャンというやや露骨なミスリードがあるものの、先を推察させない物語展開を見せてくれ、最後には大きな感動を残してくれる、近年のピクサーでの傑作と言うに相応しい映画でした。

人に語り継がれるということが必ずしも素晴らしいことではないが、「人は死んでも思い出の中に生きている」というような言葉もあるように、思い出の中に存在するその人が、思い出を持っている本人にまるで生きているかのように働きかけることがあると思う。そういった意味で死後の世界に家族が生きているという発想は、なんて豊かなのだろうと胸がときめく。

ラストでママ・ココが、ミゲルの『リメンバー・ミー』を聴いたことで、ありありと目に輝きを取り戻した場面は、何度見ても涙なしには観れない。ヘクターの、娘を心から愛する気持ち。ママ・ココの、パパとの思い出が甦る感動。ミゲルの、ヘクターを忘れないで欲しいという願い。そして、音楽の力を目の当たりにした家族全員の悦び。あらゆるものが詰まっている。

終わりにママ・ココが死後の世界に召され、両親との再会を果たす演出にも心が温まる。本当に良かったねぇ〜…。リヴェラ家にも新しく家族が増え、思い出が語り継がれていく。

純粋で、優しい気持ちになる感動作。
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