ノストロモ

ぼくのエリ 200歳の少女のノストロモのレビュー・感想・評価

ぼくのエリ 200歳の少女(2008年製作の映画)
4.0
夜の真っ暗闇に静かに雪が舞い散る冒頭から、心を掴まれる。
苛められっ子の孤独な少年が人外の少女に恋をするという典型的なボーイミーツガールだが、北欧の暗い夜を主な舞台とした静謐な映像美や、また怪物譚としてのグロテスクな描写も果敢に描きながら、ギリギリ品の良いおとぎ話としての雰囲気は壊さない丁寧な演出の手腕も素晴らしい。

半面、少女とその保護者があまりにも安易に「事件」を起こしすぎな点など脚本にツッコミどころはあるが、上記した演出の妙や、主演二人の余りにはまりすぎているルックスなどが合わさると、この脚本の粗さが逆に寓話としての本作幻想性を加速させているような気もする。と、これは少々アクロバティックな擁護かもしれないが、とにかく全てが奏功して、全体として非常に透徹した美しさを湛えている傑作だと思う。

ただ一点、ラストシーンだけは少々蛇足かなと個人的には思ってしまう。一つ手前の場面で終わっていればより完璧なのにと見返す度に思ってしまう、、決して悪いシーンではないのだが。
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