きりま

溺れるナイフのきりまのネタバレレビュー・内容・結末

溺れるナイフ(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

溺れるナイフ

若手駆け出しの綺麗どころ俳優女優をマッチアップさせて売り込む近頃の漫画映像化映画のパイオニア的1作品だと思っていた、けれどそれは勘違い。実力のしっかり伴った役者による、筋書きのしっかりした物語だった。
もののけ姫みたいに、あまりに文化圏の離れすぎている2人が浮雲という田舎で出会う約3年間の物語。菅田将暉演じるコウちゃんは浮雲の神主の息子で地元でしか生きてこなかったがどこか世界を達観していて、小松菜奈演じる夏芽に新しい世界を見せてくれる。
でも不器用な2人。夏芽が芸能界と関わりを持って揺さぶられるなか、それを支える気持ちもはっきりと持たないコウ。安定感に欠ける2人の恋愛(?)関係が続くなかで起きた、夏祭りの事件。
中学卒業も相まって完全に離れた2人。そこに現れる大友の存在。下心とかなく、夏芽を守ってあげたいという友情がだんだん愛情になっていく。この作品で1番魅了されたのは重岡くん演じる大友と夏芽の長回しワンカットのシーン。これが1本じゃなくて何度もあった(野球部のベンチ、バッティングセンター、お見舞い、カラオケバー←これ最長、「東京さ行くだ」ほぼフル)。菅田将暉ともあったのかもしれないけど、重岡くんの演技が自然で上手くて、アドリブも入っているのが分かってそればっかり印象に残った(関西弁ネイティブのキャスティング◎)俺的助演男優賞。ああと、上白石萌音も正統派じゃなくずっと裏、恨みがあるような描かれ方をされながら演じているのも不気味でよかった。
最後の終わらせ方は、難しいね…賛否両論なのかもしれないけれど…。コウと夏芽がくっつくべきではないとは思っていた。だから最後の夏芽の妄想の中で2人が会話している様子が切なくも心温まる感じにまとめられていたと思う。夏芽はああやって生きていくしかないのだよね…切ない。
結婚おめでとう
「神さん、あたしの神さん!」望月夏芽
2016★★★★
きりま

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