かえで

溺れるナイフのかえでのレビュー・感想・評価

溺れるナイフ(2016年製作の映画)
3.9
早めの時間だったこともあってか周りには女子高生も多くて、鑑賞後「菅田将暉まじイケメン!かっこいい〜!」と、あちこちで黄色い声が上がっていたのだけど、個人的にはとてもそんな気持ちにはなれなかった。鑑賞後はもう心がひりひりして疲れ切ってしまった。画面の隅から隅まで、ひとときも休むことなく輝きとエネルギーを放っている映画だった。熱くて痛くて苦しくて傷だらけで、それでもなお光り続けていて。他の少女漫画原作の実写化作品とは明らかに一線を画してる。独特のカメラワーク、独特の演出。監督はとにかく画にひときわこだわりのある方だそうですが、本当に画面の隅々まで一切の妥協がない感じがひしひしと伝わってきた。

この作品の菅田将暉は恐かった。野生の菅田将暉。いつもの人懐こくて可愛い菅田将暉は完全に封印。何を考えてるか分からないし、何をしでかすかわからないような末恐ろしさ、なのに何故か惹かれてしまう魅力を持ってるような、少女漫画の男キャラをこれでもかというぐらいに濃く凝縮してデフォルメしたようなキャラクターを見事に熱演、見事すぎて恐ろしかった。
ヒロインも何を考えてるかいまいち分からないようなキャラクターなので全然感情移入はできないんだけど、とてつもなく美しくてどことなく官能的な、素晴らしい小松菜奈だった。小松菜奈だからこそできた役だと思う。
そして本作のダークホースは重岡くん。彼のことは本作で初めて拝見したので、演技が上手いのか、はたまたこの役がハマり役だったのかは分からないけど、もう本当に存在する子なのでは?と思うぐらいのリアリティで見事でした。ちなみにこの作品で最もドキドキしたのは重岡くんがお見舞いに来たときのキスシーン。あの空気感、ほんとにリアルでうわああ!となりました(笑)

山戸結希監督のことはこの作品で初めて知ったのだけど、他の作品もぜひ観てみようと思いました。これからの作品にも期待!
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