あなごちゃん

溺れるナイフのあなごちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

溺れるナイフ(2016年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ティーン映画という企画の趣旨を踏まえながら自分の撮りたいことも上手く撮ったなぁと脱帽。
「おとぎ話みたい」「あの娘は海辺で踊っている」でも通じるテーマ、「踊るということは自分を晒すということで本来はいやらしいことである」というダンスへの考察を今回は「芸能界」という括りで語ったんだなぁと感じた。だから主人公は芸能人への固執的なファンにレイプされるんだと思う。それは芸能界が持つ、自分を晒すことへのいやらしさの表現としてレイプを選択したと感じた。

そうして、東京とそれに比較して語られる田舎。
主人公が恋い焦がれる男の子は田舎の土地性を抱えた存在である以上、結果的に主人公が東京で芸能活動を選択する以上別れざるをならない存在なのだと思う。それはもう感情論ではなくロジックとして、土地性を抱えた男の子というテーゼとして、決められた運命。小説を練るように映画を撮る人だなぁと思った。
田舎を捨てて東京にいく主人公像は、過去作品2作品にも通じるなぁ。主人公は将来選択を東京に持ち込み、田舎で処女を捨てることなく、少女のまま東京に踏み出す。それは結果的に、切ないけれど明るい切なさを生み出す。
今回の映画で新しく持ち上がったテーマが「刃」ということだけど、これはとてもアニメっぽいテーマだったから、原作を読んでないからよく分からないけど原作のテーマなのかなぁ。

ラスト、映画が終わる最後のシーンがとても好きだった。