どぅぐ

溺れるナイフのどぅぐのレビュー・感想・評価

溺れるナイフ(2016年製作の映画)
3.8
溺れるナイフという題名は、原作者の卓越したセンスの良さを感じざるを得ない。

突き刺すような鋭い瞳を持ち、刺々しい言葉を相手へと突きつける少年:コウをナイフと比喩しているのだろう。
題名とキャラ設定、どちらが先なのか、ぜひ聞いてみたいところではある。

ナイフとは、無論、『何か』を切るためにあるものである。
コウが、ヒロイン:夏芽の抱く悩みに切り込みを入れ、その本質を抉り出していく展開は、生々しく、瑞々しい。

しかし、その『何か』が、比喩的なものではなく、即物的なものになるのは、宿命であろうか。

つまり、彼は人を刺す。ことになった。ナイフらしく。ナイフであるが故に。

この展開こそ、『溺れるナイフ』が、よくある若者のために消費されるだけのメロドラマとは決定的に違う要素だろう。

菅田将暉と小松菜奈の純愛を求めるお花畑ガールは、これを意味わかんないと言うのだろう。が、そりゃそうだ。求めているものが違う上、はなからそこに監督の意図はない。
私が言いたいのは、キャストや後味の良さは置いておいて、1回、作品の深淵を覗きに行こうよって話なのだが、これ以上書くと、自分が誰かを傷つけるナイフになってしまうので、止めておこう。
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