MikiMickle

リザとキツネと恋する死者たちのMikiMickleのレビュー・感想・評価

3.9
ポルト国際映画祭グランプリ  ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭審査員&観客賞受賞

1970年代のブタペスト × 九尾のキツネ伝説 × 日本歌謡‼‼

リザは、日本と昭和歌謡をこよなく愛する女性。
元日本大使の妻マルタのもとで12年間住み込み家政婦をしている。
彼女の唯一の友達は、彼女にしか見えない、日本歌謡歌手のトニー谷の幽霊。
大好きな日本の恋愛小説のような甘い恋がしたくて、誕生日に2時間だけ外出をもらっている間に、マルタが何者かによって殺害されてしてしまう。
遺言でアパートはもらったものの、今度はリザと恋に落ちそうな男たちが、次々と命を奪われていくっ‼ 見栄隠れするキツネの呪い……

九尾の狐伝説。それは、絶世の美女に化けて、帝を惑わしたとされる狐の妖怪……キツネを愛した男は死ぬ運命にある…

という、一風変わったお話。

まず、登場人物の個性が面白い♪
犠牲者たちは、
へんてこ料理が大好きなハゲちらかし男、
戸棚の中に入るのが大好きなDT男、
無類の女好きなどなど、クセのある変態さんたちが登場♪
死因もへんてこだし、みんな、どこかしら可愛らしい♪

トニー谷は、孤独なリザを優しく見守っている幽霊で、歌いまくり、踊りまくるっ♪
しかし、なにやら怪しげな雰囲気が……

そして、彼女のアパートに下宿人として身分を隠してやってくるゾルタン刑事♪
捜査のためにきたものの、ピュアなリザに恋してしまう、寡黙で控えめだけど機のきくピュア刑事‼
彼、素敵すぎる‼
何度も何度も死にそうな目にあうゾルタン刑事。
感電したり、焼けたり、落ちたり、サボテンまみれになったり。
彼女の幸せを第一に思い、ボロアパートの様々なところをこっそりと直し、例え死にそうな目にあっても、そばにこそっと寄り添っている♪

果たして、ゾルタンは死なないでいられるでしょうか?‼ 無償の愛で、キツネの呪いを解くことができるのでしょうか?‼

そして、主人公のリザ。純粋無垢でピュアそのもので、今まで恋も知らずに生きてきた彼女。
30歳だけど、今まで不遇な人生を送ってきて、やっと恋をしようと心に決めて。
眼鏡でみつあみ、地味な服装のリザは、抑制された感情を少しずつだして、色々と奮闘するのに、恋が少し目覚めた直後にその人が死んでしまう‼ 容疑者としても疑われるし、まさに悲劇‼

なんといってもこの映画、全編にヘンテコな日本歌謡がっ♪全て日本語‼ 全てオリジナル‼軽快でポップで、昭和感たっぷり♪歌謡曲っぽいのや、GSっぽいのや♪耳について離れない変な歌wそれを歌うのは、トニー谷‼ミントブルーのスーツに身を包み、ちょっとたどたどしい日本語で楽しませてくれます♪
踊りもかなり愉快。演じるのはデイヴィッド・サクライ。デンマークと日本のハーフのアクション俳優さんらしい。その踊りは、プレスリーを参考にしたらしいけど、なんか、真似をしたくなるような、なんとも面白いダンスとステップ。最高‼

そして、時おりでてくる漢字や日本語・着物など、監督の日本愛をひしひしと感じます♪その曲も、監督が日本歌謡などを研究して作ったものらしいし♪
着物を着たリザとゾルタンの幻想のシーンも、きちんと日本美を理解しているように感じました♪そして、妖艶。

1970年代のハンガリーというと、ロシアの支配の影響もあり、共産色の強い時代だと思います。そんな中、主人公のリザが足しげく通うのは、いかにもアメリカンなハンバーガーショップで、読む本もコスモポリタン。そこに資本主義への憧れと幻想なんかも見て取れます。リザの心境にとてもマッチしていて上手いです。
町並みや、貧乏だからカーテン切り刻んで作ったレースのセクシーワンピや小物が可愛い♪ 

無私の愛とは、こんな事だったんだって思う♪そして、最後まで、プチドキドキ(笑)純粋に楽しかった映画でしたっ♪

それにしても、トニー谷の歌がいつまでも頭に残る。
「気分最高、踊る人波♪ウレロッ‼弾むビートォ~♪嫌な事も~♪はじけて吹き飛ばせっ♪ハートを解き放って♪辛い~事も~♪忘れて舞い踊れっ♪ダンスダンス、ハバグッタイ♪」
MikiMickle

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