セサミオイル

葛城事件のセサミオイルのレビュー・感想・評価

葛城事件(2016年製作の映画)
4.5
久しぶりに4度目の鑑賞。
カメラがどうのとか音楽が、とかそういう事を考えずただただ物語に没頭して観られるのはありがたい。
こういう人いるよね〜!という実在感のある役者達がキャラになり切ってそのキャラがいかにも言いそうな事を言う。観てて現実に戻される瞬間がないんだ。
人物設定と演技のシンクロ率が高い。
皆さんキャラが全然ぶれなくてずっと見てられる。
その上、人物同士の関係性をよく表す台詞がポロッとあったり、会話の間が絶妙だったり、つくづく脚本や演出がよく出来てるなと感心します。
しかし物語設定がこの映画の肝。
家族が題材になってるから自分の人生ともオーバーラップする部分も多々あり、現実の世界で定期的に起こる無差別殺人事件のバックグラウンドが見れるというのもこの映画ならではで目が離せない。

特に突出してるのがオヤジでその次にそのオヤジがボッロボロにした家庭。
オヤジの性格、歪みっぷりがやばい。
頑固一徹を装いつつ、とにかく自己中で自分勝手。身震いする程世界と価値観が狭く向上心がない。自分の狭い世界観に全てを嵌めたがるのだ。
家族とは言え別人だからそんなの土台無理な話で、オヤジの意にそぐえない他の家族がどんっどん病んでゆく。
そして転がるように破滅する。
破滅の物語だこれは。
カタルシスを感じたい方におすすめ。