マ帆

葛城事件のマ帆のレビュー・感想・評価

葛城事件(2016年製作の映画)
3.9
" 男は大きな家と立派な仕事を持つべきだ " という考えが当たり前だった時代、そして恐らくそれが他よりも少し強かった家庭に生まれた清の「俺が何したって言うんだよ」と、いわゆる "親ガチャ" で男らしさに呪われた父の元に生まれた稔の「俺が何したって言うんだよ」。どちらにも絶望と嫌悪感、少しの哀しさを感じた。

「もうこれ事件じゃなくて事故だよね?」
もうこれ事件じゃなくて事故なのかもしれない、、、。

反省どころか自分が起こした事件を事件とすら認識してない稔に唖然としたけど、どこにでもいる無邪気な少年を破滅へと向かわせたのは「お前くらいの歳の時俺は一国一城の主だったぞ」みたいな、本人にとっては何てことない一言の塵積もだったんじゃないかと思うと辛いし他人事には思えない。

『空白』以上に感じた人が変わることの難しさ。どうすれば断ち切れたのかと考えることすら無駄なのかもと思ってしまう。。。


......と書いた後でモデルになった事件とその犯人のウィキペディアを読んで吐きそうになった。真実は小説よりも邪悪なり、擁護の余地もない事件の全貌の後ろ、「家系・家族とその環境」ページが更なる地獄で虚無。

" また生きなきゃいけねえのかよ "
マ帆

マ帆