GODZILLASAURUS

葛城事件のGODZILLASAURUSのレビュー・感想・評価

葛城事件(2016年製作の映画)
4.5
「皆がちょっとズレて、それが大きくなる」

どこにでもありそうな家庭環境。だが、意外とここまで酷いことはないだろうと思いつつも、いや、周りの家族も中を覗けばこんな感じなのか?という不安にもかられる。観る人の家庭環境によってもこの作品の見方が色々変わりそう。

皆んながちょっとずつズレて、それがだんだんと大きいズレになって崩壊する。
家族崩壊物語はたくさんあるが、俳優陣の演技と細かな演出がハイレベルな見応えのある作品。

超がつくほど自己中な昭和オヤジを見事に演じる三浦さんはもちろんのこと、狂気じみている母親の南果歩さんの演技は本当に素晴らしい。

次男は母親っこだが、性格は完全に父親譲り。自己中で自己顕示欲と自己評価が以上なほど高いのに、小心者で現実に怯えてそれを隠すために御託を並べる口撃しかできない。ある意味この次男が、彼と同世代に最もいそうなタイプな気がするし、その次男が事件を起こすのだから皮肉。

個人的見所は3つ。
唯一、精神的に「家族」であるとわかる幸せなシーン。最後の晩餐に何を食べたいか?のシーンは、照明も明るく、3人の笑顔も見れて心が和む。誰も狂っちゃいないと思える。それを一瞬で破壊する父親はある意味大したものである。

ポイ捨てしたタバコの吸殻を拾いに戻ってくる長男。彼の性格を的確に表現しつつ、次のシーンへの布石でもある。ほっこりしつつ凹んでしまう。。。

次男の事件シーン。目の前で突然惨劇が始まると人間は意外と何もできないもんなんだなと改めて感じた。星4.5
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