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『インモラル物語』に投稿された感想・評価

Cem

Cemの感想・評価

4.0
久しぶりのヴァレリアン・ボロヴツィク🌹4つの時代と場所で繰り広げられる性の営みを描くオムニバス・ストーリー♬.*゚真昼間からインモラルに浸れて幸せ🥺
1話目『満潮』詩的で田園風景や海がローランっぽい。少女が毛深い
2話目『哲学者テレーズ』パイプオルガンとお城と真っ白ワンピの美少女がとてもエレガント✨ヘチマオナニー。ヴァレリアン・ボロヴツィクらしい作品
3話目『エルジェーベト・バートリ』可愛子ちゃんのヌードだらけ。甘美で極上な眺め。真っ赤な血に染まったバートリさん
4話目ルクレツィア・ボルジア』まあまあ
現代から17世紀までの4つの時代を遡りながら、当時の多様な性生活を綴っていく、オムニバス形式のエロティック・ドラマ。

実質的には、女体を拝むための「動くエロ本」に分類される作品だが、各エピソードが異なったシチュエーションで語られており、なおかつ舞台美術がしっかりしているため、文芸調のポルノが完成されている。

真っ白な柔肌を画面いっぱいに接写したり、美容オイルをタラ~ッと垂らしたり(今でいうローション・プレイ)、シースルーで内部の裸体を透けさせたり、あらゆるフェティシズムに対応した映像美が続出する。

第3話では、画家パブロ・ピカソの娘パロマが、伯爵夫人の役柄で出演。日本の成人映画とはまったく異なる描写が実現しており、総じて「中世ヨーロッパの枕本を実写化した作品」という印象が強い。
背徳の物語を5篇(日本版は4篇)並べたアート・ポルノ映画。監督はポーランドのエロティシズム監督ワレリアン・ボロズウィック。ピカソの娘パロマ・ピカソが吸血鬼のモデルとされるエリザベート・バートリー伯爵夫人役で出演。

【物語】
第1話「満潮」(原作は仏エロティシズム大家マンディアルグの同題小説)
現代。パリの大学生アンドレは、十六歳になる美しい従妹ジュリーを誘い初秋の海に遊びに行く。彼は満潮時に合わせてある計画を果たそうとしていた。。。

第2話「少女テレーズの哲学」
1890年。テレーズ(シャルロット・アレクサンドラ)は日曜のミサに遅れたためバツとして物置小屋に閉じ込められた。昼食はキュウリが2本だけ。彼女は聖書を片手に一冊の秘本を発見し。。。

第3話「ジェボーダンの獣の真実」※日本版ではカット
1765年。フランスの森に建つ豪邸。侯爵夫人ロミルダは、綱が切れ走り出した子羊を追いかけ森の中へ入っていく。そこには半分クマで半分オオカミのような怪物が棲んでいた。発情した怪物は夫人におそいかかり。。。

第4話「伯爵夫人エリザベート」
1610年。ハンガリー。領主バートリー伯爵の夫人エリザベート(パロマ・ピカソ)は従者イスファンを従えて領地の娘たちを館に連れ帰る。数十人の娘たちは水浴びをし丸裸で夫人の寝室に集められた。夫人が与えた高級レースに群がる娘たち。その後ろに剣をたずさえたイスファンが現われ。。。

第5話「ローマ教皇と娘ルクレチヤ」
1498年。教皇アレクサンドル六世は絶大な権力を握っていた。あらゆる快楽を追求してきた教皇は自分の美しい娘ルクレチヤの婿が不能であることに目をつけ、彼女の弟チェザーレをまき込んで娘と交わることを計画する。。。

好事家の間では有名なエピソードが並び“大人の絵本”のように楽しめた。昭和の観光秘宝館の世界を美しく映画化したような印象。インモラルなので健全な人にはお勧めできない。

人間が実行あるいは想像してきた背徳の物語を現代から中世へと辿っていく。遡るほど背徳の度合いが深まっていくように受け取れる(価値観によるが)。

美術衣装にはかなり力が入っていてポルノではあるが格調の高い仕上がり(3話は除く)。性交シーンはハードコアな直接描写をとらず、アートの一線を保っている(3話は除く)。美しい撮影構図からは、美術大学~シュール・アニメ作家出身であるボロズウィック監督の実力とセンスが垣間見えた。全体的に中世絵画の裸婦像を連想させるのは、性に対する大らかさと禁忌の過去を辿ることで、現代の性を客観視しようとする監督のねらいと受け取った。

出演女優キャスティングにはルックスへの拘りが感じられた。第2話の少女テレーズを演じたシャルロット・アレクサンドラ(当時18歳)は、後に「本当に若い娘」(1976)で主演しセンセーショナルな話題を呼ぶ。

個人的には第1話が映像演出ともに繊細で詩情が感じられて好み。ジャン・ローラン監督の“ローラン・ビーチ”の源泉のようにも思える。以降、話が進むにつれて大味になっていく印象(3話は除く)。第4話のエリザベート伯爵夫人は吸血鬼モノ愛好者としては興味深い素材。何度か映画化されているが決定版といわれるものがなく、ビジュアル的には本作がベストかもしれない。

問題の3話はいわば“性の残酷メルヘン”で、オムニバスの中間アクセントとして挿入した意図はわかる。しかし、着ぐるみのクマの股間から性器が伸びた光景は下世話なコントのように見えてしまい、全体の雰囲気を壊すノイズに感じられた。初回公開後に本作を外し独立させた監督の判断は間違っていない。

耽美性を備えた芸術ポルノとしての完成度は高いと思う。好事家にとってはかなり楽しめる一本。

※第3話「ジェボーダンの獣の真実」は大幅な追加撮影を加え「邪淫の館 獣人」(1975年94分)として単独公開された。同作は酷評されボロズウィック監督の評価を大きく貶めることになった。

※第1話「満潮」原作者アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグは、マリアンヌ・フェイスフル×アランドロン主演「あの胸にもう一度」(1968)の原作も手掛けている。ヴィンテージ“大人の玩具”収集家としても知られ、そのコレクションを紹介する短編映画「Une collection particuliere(プライベート・コレクション)」(1973)をボロズウィック監督が本作の前年に撮っている。これが非常に面白く、本作を制作する上で大きな影響を受けていると思われる。※Filmarksには未掲載。

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