ふじたけ

ハッピーエンドのふじたけのレビュー・感想・評価

ハッピーエンド(2017年製作の映画)
4.5
固定ポンっておいての長回しのせいか途中退屈するところもあるけど、おもろい。とういくつかのシーンはマジで笑える。変なユーチューバーみたいなやつの編集がマジで笑える。
この映画のテーマとしてSNSがあげられると思うけど、結局は人間の裏側を描きたいんだと思う。今の時代の人間の性質を。
この映画で描かれているSNSの性質の一つとして、人に話せない自分の裏側、罪の自白がある。昔であれば、それら人の闇は自分の心の中にとどめておくか、あるいは本当に親しい人と共有するかの二つの選択肢があった。
だが、SNSがこの構造を変化させた。SNSのおかげで、今では誰でも簡単にネット上で自分の闇を発散できるようになった。
つまり、自分の本心を吐露できる親しい人の必要性が下がったのだ。ネットでは誰もが自分を認めてくれるため、自分から行動し外の世界へと踏みだして、誰かと関わりをつくらなくてもよくなった。
まあこれはこれで、いいことなのかもしれない。しかしこのままだと現実がどんどん抜け落ちていってしまう気がする。この先現実とネットの世界の溝は深まって行くだろう。自分の情報ばかり仕入れるネットの世界はいわば自分の理想の世界で、そんなネットの世界につかれば人間はどんどん偏っていき、利己的になって行くのではないか。その結果、自分とは異なる他者の理解はどんどん遠ざかっていくだろうし、自分の影はどんどん大きくなっていくだろう。
SNSによってグローバル化が推し進められ、異文化と触れ合う機会が増えたが、逆にSNSは私たちを異文化理解から遠ざける側面もまた持っているのだ(あくまでも偏ったネットの使い方をしている人の話)。
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