これは大傑作。
意識高い系JDと、妻子と別居している孤独な建築家の恋愛話。
いい年した建築家がJDにメロメロになり青臭い行動とっちゃう様が痛々しくて最高である。
まずオープニングね。舞台となる広場を上空からカメラがぐるぐる回転しながら降りてきてパンクバンドの演奏と群衆と、主人公を映すのがワンカット。ここすごく好き。
次に主人公がJDを見つめながらピアノを弾くシーン。見つめ返すJDとの切り返しのショットを何度か繰り返したあと、主人公のカットからカメラが引いていき、しまいには向かい合うふたりをワンカットにおさめるのだが、ここも映画史に残るレベル。
主人公が夜起きて、屋根伝いに歩いて彼女の家の前の壁に「愛してる」とスプレーで書くシーンなんて最高ですよ。40代半ばのくせに、痛い痛い。
でも、夜の屋根の上って映画的で素敵やん。
いやねぇ、トーメさんは窓枠の使い方も上手くて、JDの部屋から見える例の文字の切り取り方とか、部屋の暗さと窓からの四角い光の使い方が最高に好み。
そういえば、『ピンク』でも光るデスクトップの画面を効果的に使っていた。
元彼の子を妊娠したと知ったJDが公演を延々と歩くシーンの移動撮影も最高だった。ベンチに座ると、隣に妊婦が座ってくるが、それを見るやいなや席を立つ演出もにくいっす。