糸くず

ひつじ村の兄弟の糸くずのレビュー・感想・評価

ひつじ村の兄弟(2015年製作の映画)
3.8
カンヌの「ある視点」部門の作品賞受賞作なので、少し身構えて観たのだけども、実直すぎるくらい実直な作りの映画で、かなりの安定感。

アイスランドといえば、『馬々と人間たち』という怪作があって、明らかに好悪がはっきり分かれるタイプの映画だけども、あの映画の「馬、この身近でしかし奇妙なもの」というような突き放した視点がわたしは好きだった。

一方、この映画は、アイスランドという地域の特異性を、「過去に因縁を持つ兄弟の確執と和解」という普遍的な物語に落とし込んでいて、広く受け入れられるタイプの映画だと思うが、「どうせならもっと遠くに連れていってほしい」とも思う。

羊の死体で埋め尽くされた弟の小屋と兄の空っぽな小屋との対比、「服を脱ぐ」ということが兄弟の関係性の変化を表している点など演出は行き届いていて、見応えがある。弟が道で行き倒れていた兄をブルドーザーで運び出す場面の無骨なユーモアも悪くない。

ところで、わたしはラストで確信したのだけども、この映画は間違いなくBLだと思う。
糸くず

糸くず