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カンパイ!世界が恋する日本酒のkunicoのレビュー・感想・評価

4.0
東京国際映画祭にて鑑賞。
上映、トークイベント、試飲会と盛り沢山の内容で大満足でした。

日本酒のドキュメンタリーというと、この作品を含め最近では3本の映画が撮られています。
その内の1本「一献の系譜」を鑑賞した後すぐに「KAMPAI」を見ましたが、全く違う作風だと感じました。
前者は系譜ということもあり、酒造りの技や想いなどベテラン杜氏が若い世代にバトンを渡していく姿が描かれていましたが、「KAMPAI」は更にアクティブな新世代が活躍する様子を映したものに思います。

日本酒を造る職人の汗や涙を見せるものではなく、日本酒の虜になった3人のユニークな人物を知っていくという内容でした。
この3人が本当に魅力的で、映画を見終わって数日経った今もフとした瞬間に思い出してしまいます。
小西監督がトークイベントでおっしゃっていましたが、この映画は日本酒にフォーカスを当ててとことんそれを描き出そうというよりも、主人公の中の一人、南部美人の蔵元 久慈さんとの出会いが制作の発端になったというのも納得です。

この映画で凄いと思ったのは、現代の日本を映すには避けて通れない東北の震災を真正面から捉えていた点。
福島にあった日本で一番海に近い酒蔵で働いていた方が登場したり、花見禁止お酒禁止の風潮に「東北の物を食べて、飲んで私たちを支えてくれ」とYouTubeで訴える久慈さんの姿が出てきたり、私の両隣に座っていたお客さんは2人とも涙していました。

海外と日本酒という関係をたっぷり知れたことも面白かったです。
京都のイギリス人杜氏ハーパーさんと日本酒ジャーナリストのゴントナーさんのインタビューはとても興味深い!
日本酒抱えてロンドンに降り立つ久慈さんが現地のバーで日本酒講座をする場面も、ゴントナーさんの教え子がアメリカで酒蔵を持つ場面も「日本酒で日本と世界を繋いでいる人がいる」と強く感動しました。

4月公開だそうですが、もう一度見たくてウズウズしています、それまでは南部美人や玉川を飲んで我慢します!笑
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