柴田龍

カンパイ!世界が恋する日本酒の柴田龍のレビュー・感想・評価

4.5
3人の酒造りに対する情熱譚として、期待しているのなら、それは裏切られることになる。鮮やかに。
日本酒が国酒。確かに日本ではそうだろう。
しかし、国それぞれに酒は存在している。生活に密着しながら、日々の喜びや心に寄り添い、その国の文化の潮流を支える一つとして受け継がれている。
この映画は、まさに世界に数多ある、文化を支える命の水の現代における興りを、日本酒という酒類の1つをモチーフとして、浮き彫りにする作品。
日本のものづくりに関わる多くの共通項が散りばめられたこの映画の中に、自分だけのオリジンとなり得るセリフやシーンを、きっと見つけることができるだろう。

ー おかわりを求めてくる時ほど 喜びを感じることはない フィリップ・ハーパー
ー 冒険しなければ きっと後悔する ジョン・ゴントナー
ー がんじがらめの自分を解き放ちたい コウスケ・クジ

主演の3人が、水であり米であり麹。そんな姿が、やがて澄み切ったSAKEとなり、映画というグラスに注がれる。その清冽な魂の向こうに広がる笑顔を感じさせる一品。KANPAI!。
柴田龍

柴田龍