キミシマユウキ

ビースト・オブ・ノー・ネーションのキミシマユウキのレビュー・感想・評価

4.0
西アフリカの小さな村で平和に暮らしていたアグーは内戦に巻き込まれ、家族を失い、少しずつ彼の心は蝕まれていく……


最近巷で噂のNETFLIX制作オリジナル映画。
東京国際映画祭でも上映されているらしく、インターネット配信の映画が劇場で公開するという業界の新しいビジネスモデルを後押しするかのような意欲作だ。
自分は自宅で夜中に鑑賞。


重苦しい、目を逸らしたくなるような作品だった。
平和な村で暮らす陽気な少年が内戦に巻き込まれることによってすべてが変貌していく様を丁寧に映していく。
アフリカの少年兵の事情はニュースや映画の断片や学校などで事実のみを少し知っている程度だが、ここまでその題材に正面から向き合った作品は初めて見たので衝撃を受けた。
もちろんこの作品はフィクションだし、何か基になる話があるわけでもないと思うが、あまりにリアルで考えさせられた。冒頭、独特なリズムの民族音楽と笑顔に満ちた愉快なアフリカの子供達がとてと幸せそうな分その後の凄惨たる戦いの様子は余計胸に来るだろう。

キャストはほとんど知らない黒人の方々だったが一人だけ。
反乱軍を指揮するコマンダー役はイドリス・エルバ。
『パシフィックリム』でも鬼教官を演じたり、『マイティソー』でも威厳あるキャラを演じたりと最近売れてる俳優だ。この指揮官が見事に無垢な子供達を兵士へ鍛え上げる(陥れると言うべきか)所や兵士達の士気を上げていく演技は素晴らしい。これからさらに売れていくと確信した。
さらに言うと彼は次期七代目007/ジェームズボンドの候補の一人にも上がっているらしく、史上初の黒人ボンドになるんじゃないかと自分も期待している。


少年が当たり前の様に人を撃ち殺し、鉈で切りつけ、犯し……と、かなり残酷な描写が多いので万人にはオススメは出来ないがかなり衝撃的で映画好きには見て欲しい作品だ。

果たしてこの戦いに元から大義なんてものがあったのだろうか……

我々は世界一と言っていいくらいに平和で豊かな国で生活しているので普段は自覚できないが、それがいかにありがたいことなのかを日々感謝して生きていこう……
(↑CV:大塚明夫で再生して下さい。)


戦争映画好き、NETFLIXに登録してる方、東京国際映画祭に来てる方、そしてもしかしたら次期ジェームズボンドになるかもしれないイドリス・エルバの演技を見てみたい方にはオススメの作品。