冒頭で架空の国とあったが、実際アフリカや中東では、これと同じような出来事は起きている。
政府軍によって家族全員を射殺され、何とか生き延びたアグー。
そこから救われたゲリラ軍に投降していくことになる。
元々キャリー・ジョージ・フクナガ監督の演出力は確かだが、この絶望的な状況で兵士になるしかなかったアグーの無情が全編に渡って描かれる。
一応アメリカ映画であるが、そういう空気は皆無。
子供や女性は安全という言葉は見当たらない。
容赦なくアグーが人を殺すシーンもはっきりと見せている。
この映画の救いは、アグーが元の平常心に戻れるかどうかだ。
一方道に誘い込む指揮官のイドリス・エルバもまた複雑な感情を併せ持つ。
軍に守られていた肩書が崩れていく様は何とも。
ラストの子供たちの躍動には安堵の想いがする。