近未来で起きてもおかしくない設定で結構リアル。
SFではあるもののあからさまなものではなく乗り物なんかもそこまで進歩してなくて結構現実的。
自然な生き方をなるべく選択したかった両親から自然妊娠で生まれたビンセントアントンは生まれつき心臓に障害をもっており他にも視力が悪かったりと遺伝子的に問題を抱えており不適正者として育てられた。
ビンセントを育てながら不適正者の現実を悲観した両親は今度は弟を適性者として髪や目の色など遺伝子操作で選択してもうける。
運動神経がよく知能明晰、容姿も優れた弟のアントンと一緒に育てられたビンセントは日々劣等感に駆られ、現実から逃げ出せるからか宇宙に行きたいと思うようになる。
そして、家族の元を離れたビンセントはある噂を頼りに遺伝子を売買するブローカーを訪ねる。
切なく、苦しく、しかし希望を与えてくれる作品。
遺伝子でその後の人生が全て決められる世界で一流の遺伝子を買取り、職場での日々の検査をすり抜けつつ自身のたゆまぬ努力によって偽の遺伝子に相応しい実力と知能を身につけた主人公の運命に抗う姿がうちのめされる。
誰にも存在を怪しまれてはいけない、気づかれてはいけない。そんな状況に身を投じつつ自身の目標に向かっていく。
髪の色、目の色、肌の色。今後近い将来でこう言った遺伝子操作が可能になってくると思うと現実におこりうる話。
決してこんな世の中になりませんように。
