レッドキング

ガタカのレッドキングのレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
4.0
遺伝子によって、その後の一生の優劣が決められてしまう近未来。
20年以上前の作品だけど、今にも通ずるテーマだと思う。
人種・性別など、本人の実力と全く関係のないことにフィルターをかけてしまっていないだろうか。
そして、適正者の中にも「優劣」が垣間見えたのも良かった。

映画を見て、パラアスリートのアーチェリー選手、マット・スタッツマンを思い出した。
彼は生まれながらに形成不全で両腕がなく、育児放棄までされたが
育ての親からは「何でも自分でやってみる」という教育方針のもと育てられてきた。
足で字を書いたり、足で箸を握って寿司を食べたり。
インタビューでの質問に「できないこと?まだ見つけられていないな」と笑顔で答えていたのが印象的だった。
両腕がない彼が、パラリンピックメダリストという偉業を成し遂げた根底には「できると思う力=可能力」がある。

ビンセントも同様に、「お前は不適合者だから無理だ!」と言われても
適正者の弟に水泳で勝ったり、適正者しか入れない企業で成績を上げ続けることができた。
「可能力」を信じていたからでしょう。

そして、そんな彼だからこそ
何度か正体がバレそうになった時に助け舟を出してくれる人がいた。
生まれた瞬間、その後の一生が決められてしまう冷たい世界だからこそ、余計に人の温かさや底力が際立つ秀作でした。
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