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ガタカのNowLoadingのレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
4.0
 本日の一本。素晴らしい映画であったがもう一回観たいかと言われると複雑である。

 妙に評価が高い。ハラハラSFサスペンスかと期待して見たらなんとまぁ実はラストで泣いちゃう系映画だったとは。泣いたというより泣かされた。なんなんだあの映画は。

 ガンダムシード的なコーディネーターとナチュラルの宇宙飛行士選抜を巡る鍔迫り合いみたいなのかなと思ったら「挫折した完璧」と「不可能に挑む不完全」のビジネス関係から始まり、最終的に冷たいようで熱い友情ストーリーになっているのズルくない?中途半端なぶつかり合いは排除して、夢を失った者と諦めない者のタッグがまぁ理想的な友情関係でこれぞ映画の強みが生きている。このビンセントとユージーンの二人で一人のキャラクターがまた多すぎず少なすぎずのバランスが名作と名高い理由なんだと納得した。

 一つの殺人事件から始まる計画の綻びが観るものを飽きさせない。しかも犯人は誰なのかはそこまで重要ではないのがさらにまた、えっそうなの!?と言いたくなるような衝撃の真実になっている。
それでいてビンセントの持つ能力だけではない絶対的な幸運力が劇中出てくる「人間のポテンシャルは引き上げられても彼らの運命まで制御することは出来ない」を体現しているのが良い。

 なにより感動させられるのはビンセントが不完全であるがゆえに努力し、コーディネーター達を凌駕して夢を掴み取る様を、彼が言う自分で誰の助けも借りずに手に入れたんだと言われつつ実は周りからのサポートを滅茶苦茶されている描写を丁寧にストーリーに落とし込んだことだ。彼は確かに不完全だが、言葉を変えれば「未完成」であるとも言えるというヤツだ。可能性という言葉は本作でも時たま必要な時にキチンと表現されている。友情もそうだが、自身の諦めの悪さもまたドラマとして泣ポイントの一つ。

 振り返ってみると、自分勝手なビンセントがシンジくんとダブって見えてくるような気がする。「なんでみんな僕に優しくするんだよ!」と言われて「碇くんのことが好きだから」ってアヤナミが口にするシン・エヴァが一瞬フラッシュバックした。つまり何が言いたいのかというと本作は名作だということだ。(ユージーンが宇宙に旅立つ時に「旅に出るのさ」と言ったが、観終わってからスッゴイ悔しかった。鈴木貫太郎が言ってたじゃないか!「阿南くんは暇を貰いに来たんだね」って!なんでそういうのがパッと思い浮かんで彼が何をしようとしていたのかが解んなかった自分に今とても腹立たしい気持ちだ)
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