りふぃ

ガタカのりふぃのレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
5.0
こ、これは……傑作だ!!!!!!
隠れ名作と呼ばれるだけある!!!

設定甘いのでは?と思うことは確かにあった(電話のような通信機がないの変だし、遺伝子が絶対とはいえ顔を全く見ないなんてことはないだろうし、毎回入館するのに血液検査するの面倒だから虹彩認証にするでしょ……など)。
しかし、問題はそこではない。

遺伝子という設計図で限界が決まっていたとしても、実際に必ずそうなるわけではないということ。
あるいは、遺伝子が優秀でも、実際にはそれを使いこなせない場合があるということ。
限界は自分の努力と周囲の助けを得ることで越えることができるということ。
……これらがこの映画の本質だろう。

デザインベイビーが普通なくらい遺伝子が全ての世界で、寿命が30年程度で体力もあまりなく、近眼といった主人公ヴィンセントはどう考えたって負け組だ。
しかし、彼は自分の夢を叶えるため、必死に努力し、優秀な遺伝子を持つ人と偽れるくらいになる。
そして、遺伝子的に優秀なガールフレンドを得て、念願の宇宙へ旅立ってゆく。

主人公に遺伝子を提供していたユージーン(本物のジェローム)は最後その身を焼く。
ヴィンセントがジェロームになれるように。
遺伝子上ではほぼ永久に生きられる彼が、ヴィンセントより短い生涯を終えた。
なんたる社会への痛烈な皮肉か。
しかし、ユージーンはこの献身により、ようやく己の人生に満足して逝くことができたはず。
遺伝子からは予測できなかった結末だろう。

多くの人が結婚相手のスペックを気にするのは、やがて生まれてくるかもしれない子のスペックを気にしているからではないか。
つまり、この映画内の社会と現実とではそこまでの相違はない。

今一度、それでいいのかと問う必要がありそうだ。
りふぃ

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